1980年代に、ドイツ人社会科学者・ボンスとハルトマンによって衝撃的な報告が発表されました。世界中の大学や研究機関で行われている量的な、すなわち数値でデータが得られる研究の成果が、私たちの日常生活に応用される可能性は大変低いそうです。もちろん全くない訳ではありませんが、膨大な研究成果からすると、社会に還元される割合が大変少ないのです。これは量的な研究が客観性を重視し、方法論的な基準を満たそうとするあまり、日常生活において意味のある問題からかけ離れてしまうから。ボンスとハルトマンは、研究について『客観的に正しいかどうか』ということだけでなく、その研究が人間や社会状況に持つ意義を主張する必要があるのではないか、という議題を投じました。
それからおよそ30年経った現在、この状況はあまり変わっていません。今も世界のあちこちで「何かに使えそう」なデータが生み出されては、結局何に役立つのか分からずに眠っています。とは言え、科学のようなものは押し並べて俗世間とは切り離された場所で、お金の勘定・有益無益などという生臭い話とは無関係に行われるもの。一見の無駄を重ねるうちに世界を変える大発見がされるのだから、こんな議論をすること自体がナンセンス、知への冒涜だという見解もあります。
この一方で、何を悠長な、その無用の長物・研究とやらの資金は国民の血税から賄われているのですよ、さぁとっとと仕分け仕分け・・・という現実的な見解もあります。
どちらの意見も一理ありますが、もしも無用とされている膨大な眠れるデータを社会の役に経つものに変えることが出来るなら 経済的な側面だけでなく幅広い意味で 、これが一番冴えた解決法です。でも、そんな錬金術のようなことが出来るのでしょうか?
今年は偶々良い機会に恵まれたこともあり、その方法を世界のあちこちの大学、研究機関、企業に尋ねて来ました。そして今はその旅も大詰め、アメリカはボストンのハーバード・メディカル・スクールのブリガム&ウィメンズホスピタルに辿り着いたところです。なぜ病院に来たのか?ここに何があるのか?これからこのブログを通して、少しずつご紹介して行きます。
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