ソルトレイクシティからボストンに戻る途中、乗り継ぎ便の都合でアリゾナ州フェニックスで1泊することになりました。飛行機を予約した時に、一番安い便がこの「フェニックスで1泊」という便だったからです。勿論ホテル代は別に払いますが、それでも相当割安でした。
ユタ州とアリゾナ州は隣同士ですが、フェニックスの空港を下りた瞬間、大雪のソルトレイクシティとは全く違う、春めいた空気が漂っていました。暖かい・・・。ホテルのシャトルバンを待つ間に、暑くてコートは着ていられなくなりました。
シャトルバンの運転手はしゃがれ声のおじさんで、
「今日は寒くてやってられないよ・・・なに!?暑い?HAHAHA!」
と笑っていました。バンの中はジャズがかかっていました。
アリゾナ州はメキシコとの国境に位置しています。ホテルまでの道中で、柱のような大きなサボテン(その名もハシラサボテン)が生えているのを沢山見ました。道路脇の赤い砂地からごく自然な様相で生えていました。
乾いた暖かい空気、赤い砂地、ハシラサボテン、まっすぐのアスファルト、陽気な運転手、ジャズ、遠くに見えるゴツゴツした山、煙草を吸う人達、バイク、寂れたガソリンスタンド。なんだかビートニクの匂いがしました。それもそのはず。アリゾナ州はかつて、廃線になった古き良き国道・ルート66の有名な通り道でした。ということに、実はバンの中でやっと気付きました。シャトルバンがルート66の近くを通った訳ではありませんが、辺り一面の空気がビートニクの雰囲気だったからです。
ホテルは予定調和的にモーテルのような造りをしていました。名前もきちんと「○○ Inn」です。駐車場にはもちろんバイクが停まっています。モトクロスやスポーツタイプではなく、アメリカンでした。
「百聞は一見に如かず」とはよく言ったもので、脳内に点在していたルート66の知識やイメージが、アリゾナの空気の中でぽつぽつつながりました。
昔読んだジャック・ケルアックの「路上」。あれは確か、ニューヨークからメキシコまで車で旅をする話でした。シカゴからは主人公達はルート66を通ったはずです。
ナット・キング・コールのカバーで知られた「ルート66」も、いつも無意識に口ずさんでいましたが(古風なタイプ)、
♪ It winds from Chicago to L.A.・・・
♪ ・・St,Louis, Joplin’ Missouri And Oklahoma city is mighty pretty
You’ll see Amarillo, Gallup, New Mexico, Flagstaff, Arizona
Don’t forget Winona, Kingman, Barstow, San Bernardino
と、歌詞に出て来る地名が、ちゃんとシカゴからロサンゼルスに行くまでのルート66の道順通りになっています。
そして大好きなポール・ニューマンの密かな遺作・アニメ映画「カーズ」の舞台も、こんな雰囲気の街でした。砂漠とグランドキャニオン、モーテル、サボテン、エンディングは確か「ルート66」だったような・・・。
調べてみると、カーズの舞台「ラジエーター・スプリングス」はアリゾナ州の町がモデルになっているようでした。どの町かは諸説あるようです。
本当に偶然立ち寄った街でしたが、大好きなビートニクやナット・キング・コールの世界が詰まっていて、思いがけず楽しく過ごせました。
空港にはこんなお店もありました。

ナット・キング・コール・トリオ「Route66」