水曜日の午後は、肝臓の手術でした。
基本的には前立腺ガンの手術と似ています。
肝腎の観察ですが、前回の手術の観察で分かったことを基に準備をしました。今回は、
・エンジニアと医師の会話に焦点を絞って観察する
(これ以外にも他にも重要な会話があれば書き取る)
・エンジニアの動作(視点など)に焦点を絞って観察する
以上の2点について、徹底的に観察することにしました。
一度現場をざっくり観察し、そこからポイントとなる事項に焦点を当て、改めて観察し直すというのは、「マイクロエスノグラフィー」などで行われている手法です。今から10年ほど前、京都大学の箕浦康子先生のレクチャーを受けに行った時に学んだ手法です。
この日の医師は、午前中も午後もKemal Tuncali先生でした。とてもニコニコして、私が立ち合うことも
「よろしくね。へー、そんな研究しているんですか!」
と言って快く許して下さいました。Tuncali先生、喋り方が緩やかでハキハキしていらっしゃるので、筆記記録が取りやすいことも助かりました。
AMIGOにいたのはTuncali先生の他に、波多先生、サムさん、アンドレイ、ザビエル(ブログ初登場。メディカルドクターにしてPhD、MBA。よくお会いします。)、オリエンテーションをしてくれたテクニシャンのジャニスなどなど。アンドレイは3D Slicer の操作をしていました。
Tuncali先生はオペ室で少し施術すると直ぐに私たちが控えている部屋に出て来て、CT画像を確認していました。
波多先生はオペ室に入ったり、外に出て来たりしていましたが、視線は常にTuncali先生の動きに焦点を合わせていました。言い換えると私がしているような焦点観察を、波多先生はTuncali先生を対象に行っていたということです。
またTuncali先生は機器に対する希望を波多先生によく話していました。
「もっとここがこうだと良い」
と言うようなことです。これに関してはインタビュー調査に近いと思います。参与観察で行われる観察やインタビューを基に、波多先生は現場の要求を汲み取り、すぐにプロトタイプを提案、そしてまた試す・・・というアジャイル・ディベロップメントを実行していました。
本田技研の本田宗一郎も、バイクの試作品を作っては自分や社員がテストコースで乗り、また開発するという手法を取っていました。スクーターのような物の場合は奥さんに乗ってもらい、感想を聞いて開発に生かしていたそうです。
「ものを作る」ということは、ものが使用される実際の場所、それから使用者の意見、こういうものから絶対に離れてはいけないということだと思います。自分の目で現場を見て、ユーザと会話をして作って行くということがとても重要だと思いました。
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