学際について、前回、前々回と書きましたが、学際と言っても色々なスタイルがあります。1人で様々な学問分野を横断的に修めている場合、チームとして色々な学問分野の人達を内包している場合。前者よりも後者の方が簡単に実行出来そうですが、実はこちらの方が難しいようです。
自分の経験からも、異分野の人と一緒に研究するのは刺戟的ではありますが、なんとなく噛み合ないことが多々起こりがちです。
一番多いのは言葉の定義が違うことです。「デザイン」という言葉を事例に取ると、私の専門がデザインだと言うと、なんだかアーティスティックなことをしていると思われたり、突然
「この本にイラストを描いて下さい」
というようなことを頼まれたりします。
ところが私がやっているデザインはそういう「デザイン」ではないので、相手の方が
「あれ?何この人、デザインのくせして絵描けないじゃん。」
と、ガッカリしてしまいます。
ガッカリされる程度ならまだしも、ディスカッションしている時に言葉の定義が違うと、話がかみ合いません。
「これをデザインしてください」
と言われて、こちらが「この問題を解決する何かを提案して下さい」という意味だと思っていると、実は
「絵を描いて下さい/形を考えて来て下さい」
と言う意味だったりすることもあります。
異分野同士が一緒に研究するのが難しい理由として、他にあげられるのは、何故か自分の専門以外を見下してしまう傾向があることです。これは別に「人間全般が持つ絶対的な傾向」という訳ではありませんが、何故かこういう場面によく遭遇します。別にこれは学問に限ったことではなく、何にでもある傾向です。高校野球で自分の県のチームを応援するような、一種の身びいきの感情と同種かも知れません。
身びいきも度を過ぎて来ると、
「良いのは自分のだけ、ほかは全部だめ」
となり、「ほか」をバカにしたり悪口を言ったりするようになって行きます。
そして、学問分野では時にこの傾向が強くなることがあるように思います。
「心理学者なんかに何が分かるんだ」
「ふん、生物学者め」
というような感情のやり合いが、意外と普通に起きます。
「あいつらは○○学者だからダメだ」
という会話を何度か聞いたこともあります。
こういう傾向があると、色々なバックグラウンドの人を集め、学際的なチームで活動することがいかに困難かはご想像するに難く無いでしょう。









